『安寿と厨子王』


 姉、安寿と弟、厨子王の悲運の物語。 中世末期に成立。江戸初期に最盛期を迎えた説経節といわれる語り物のひとつ。さんしょう太というタイトルでも知られる。
  父のために京へ旅立つ四人、安寿と厨子王、母、乳母。陸 奥(今の福島・宮崎・岩手・青森県と秋田県の一部)を出発した一行は越後の直江津(新潟県南西部)へ着く。ここで人売りにそそのかされ、姉と弟、母と乳母は別々の船に乗せられてしまう。母と別れた二人は、丹後の由良(京都府宮津辺り)でさんしょう太夫(太夫=地域の長)に買い取られる。彼らはつらい労働を強いられ、とうとう安寿は厨子王を逃すが、ひどい拷問にあい、命を落とす。しかし、姉から渡された地蔵菩薩の霊験が厨子王の身を護り、無事都へ。帝から父の許し状をもらい国守(地方諸国を治める国司の長)となった厨子王は、長い苦難の末に母と再会する。
 
●絵:掘 泰明 文:森 忠明
●1800円+税
●ISBN4-900708-50-X
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『一休』


 十四世紀末京都の生まれ。父は後小松天皇といわれる。母は伊予局。幼名、千菊丸。
  六歳の年に京都安国寺の像 外和尚のもとで、禅僧になるべく修行を始める。名を周建。このころ、一休はとんち小僧として評判をとり、数々の逸話を残す。十七歳で西金寺の謙翁に師事し、宗純と改名する。二十二歳、近江の国(滋賀県)の禅興庵(現在の祥瑞寺)の華叟の門弟となり、厳しい修行を続 け、二十五歳の時、華叟から一休という号をさずかる。
  室町時代の禅宗の坊主として有名な「一休さん」は、活き仏ともいわれ、人々から尊敬され親しまれた。南北朝時代から戦国時代にかけて、乱世を生きた「一休宗純」 は、風狂な坊さんであった。1481年、酬恩庵(一休寺)にて八十八歳の生涯を閉じる。
 
●絵:大野俊明 文:高田 佳子
●1800円+税
●ISBN4-900708-51-8
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『一寸法師』


「一寸法師」は、室町時代につくられた短編集『御伽草子』の中のひとつで、誰もが知っている昔話だ。ひとりの卑しい身分の男が出世していくという、めでたい話である。しかし、この男、生まれた時から背の丈が一寸(約3センチ)しかない。思案のすえ、京の都に行ってみようと考える。都は夢が叶うところ、期待に胸ふくらませ、旅立つ。一寸法師とはある語に添えて「人」の意をあらわす言葉で、彼のことを?一寸法師?と呼んだ。このような小さ子物語は、国内外に多数のこされているが、彼らの活躍ぶりは、目をみはる見事なものである。そして、この話の中で重要な役目を持っているのが、打 出の小槌。どんな望みをも、全て叶えてくれる魔法の小 槌に、一寸法師はなにを願うのか...。
 
● 絵:三輪良平 文:斉藤 洋
●1800円+税
●ISBN4-900708-52-6
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『牛若丸』


 平安時代末期の武将、源義経(1159−1189)は幼命を"牛若"といい、子供の名の下につく"丸"をつけ、牛若丸と呼んだ。父義朝は、平治の乱で大敗を喫し京を後にするが、途中平家方に捕らえられ処刑される。母常盤は生まれたばかりの 牛若を抱え、七歳の今若と、五歳の乙若の手を引き、都落ちする。平家の迫害をおそれ、四人はそれぞれ別の道を辿るこ とになるが、牛若丸は七歳の年、鞍馬寺(京都市)へ預けられた。学問に精を出す一方、夜な夜な寺を抜け出して武芸の 稽古に励む。その相手役をつとめたのが、鞍馬山の天狗(深 山に棲む創造上の怪物)たち。そして、京の五条大橋での武蔵坊弁慶との出会い。貴族に変わって「源氏」「平家」といった武士が台頭した時代の英雄、義経が平氏打倒へ立ち上がるまでを描く。

 
●絵:箱崎睦昌 文:牧村則村
●1800円+税
●ISBN4-900708-53-4
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『祇王・仏』


 日本の歴史が古代から中世へ変わろうとする12世紀の 末、権力の座についた平家は、平清盛の時代に栄華を極めたが、間もなく、同じ武家の源氏に滅ぼされていった。その盛衰の歴史を綴った『平家物語』の中の一編がこの物語。
  京の都に、祗王・祗女という評判の白拍子(歌舞を演ずる遊女)の姉妹がいた。姉の祗王が清盛の 寵愛をうけるようになって、妹の祗女とその母親までもが、ひともうらやむ境遇となった。そして三年。清盛のやしきに訪ねてきた白拍子がいた。名は仏御前。祗王の 口添えで清盛は会うことにする。清盛は、歌舞に秀れて いて美しい仏御前が、すっかり気に入ってしまい、祗王 は追放の憂き目にあう。一度は死を決意した祗王だが、母に説得されて止まり、出家することにした...。
  軍記物語の中にあって、清盛の専横な性格や権力者に反抗した女たちの生き方を描いている点で特異な一編となっている。原作の成立は13世紀前半。

 
●絵:丹羽貴子 文:村中 季衣
●1800円+税
●ISBN4-900708-54-2
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