将来は、中学生のときに決めていました。ハンス・クリスチャン・アンデルセンのような童話作家になって、『人魚姫』のような童話を書きたいと思ったのです。 誰にも打ち明けられない将来でした。なれるわけがない、書けるわけがないと打ち消すそばから、なれるかもしれない、書けるかもしれないと、望みが這いのぼってきます。行けば必ず、童話作家になれる大学があれば行きたかったし、すればきっとアンデルセンみたいになれる仕事や修行があればしたいと思いました。
‥‥(中略)‥‥
「デンマークに行こう」
不意に思いました。オーデンセに行って、アンデルセンの像に祈ったら、願いがきっと適う。人魚姫の像を見たら、望みへの道が開けると、見たこともない国にすがりつきました。(本書「プロローグ」より)
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