フランスに生まれた故松原秀一氏は、慶應義塾大学に勤務する傍ら、パリ東洋語学校、エセック経済商科大学院大学、パリ高等実習院などでも教鞭をとり、実に長くフランス文化に浸る生活を続けた。その教授が、専門の中世文学研究から離れ、近代のフランス文化を担ってきた人々の事跡から自身のパリでの生活、思い出の人々などについて綴った遺稿集──。その博学多識ぶりに読者は驚かされるが、なによりも、教授がフランス文化に対して抱いていた並々ならぬ情熱と愛情に感動を覚えずにはいられない。知る人ぞ知る福沢学者としての一端を示した労作「日本学の創始者レオン・ド・ロニ」、二人の著名なフランス人日本学者との貴重な対談も収録した。
シャンピオン書店の移転 カルティエ・ラタン今昔
睡魔のいたずら―コレージュ・ド・フランスで話す 一神教と聖者崇拝 神と人間
キリスト教の聖人と聖遺物 ファーブルと博物学 ファーブルと産業革命 『昆虫記』に読む生い立ち 追憶は追憶をよぶ すべては独学で デュリュイとファーブル ファーブルの邦訳 フランスでのファーブル復活
日本学の創始者レオン・ド・ロニ ロニの出自! 東洋語学校に学ぶ ロニの初期著作 日本の使節団との交遊 ロニと福澤諭吉 東洋語学校での講義 日本の使節たちと再会 ロニが遺した業績 ポラン・パリスとガストン・パリス G・フォーレとヴィアルド夫人のサロン
[対談I]フランスから見る日本文化 ─ベルナール・フランク氏と語る [対談II]宗教の西と東 ─ジャン・ノエル・ロベール氏と語る あとがき 鷲見洋一
松原秀一 年譜