『トランプ登場で激変する世界──自立した日本外交と安全保障戦略──』



トランプ登場で激変する世界──自立した日本外交と安全保障戦略── ●英 正道
●本体1700円+税
●388頁 四六判ソフトカバー
●2017年1月発売
●ISBN 978-4-86119-258-6

老練な元外交官の著者が、大動乱の兆しを見せる世界の現実を
冷厳な目で捉え、今後の日本外交のあるべき姿と独創的な安全保障戦略を論じた注目の書き下ろし!!
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「筆者(私)は、外交は基本的に妥協の技術であり、力相撲では無く、相手を倒したり、寄り切ることでは問題は解決しないという現実的な見方をする。基本的な国益が守れる限り、適当に妥協しなければ<良い循環>は開けない。これまでの北方四島返還一本槍の外交で何を得たのか? 人口で日本の10倍ある中国と角を突き合わせていて、どういう将来展望が開けるのだろうか?(中略)日米関係は最重要ではあるが、米国の利益第一主義を前に、ずるずると米国依存を一層進める以外の選択肢はないのだろうか?……」 (著者「はしがき」から)


 目 次

はしがき

第1部 激変する世界

 1章 「トランプ・ショック」の衝撃波

   史上最も衝撃的な2016年米国大統領選挙
   強烈な個性の持ち主トランプ
   民主、共和両党の選挙綱領
   読みづらかった選挙戦
   皆が驚いた選挙結果
   トランプ勝利の背景と勝利の方程式
   「強いアメリカ」の指導力と孤立主義の遺伝子のせめぎ合い
   トランプ政策の目ざすところ
   予見不能なパラダイム・シフト
   トランプ大統領の「パワー・ディール」は成功するか?
   トランプの日本観と日本の対応

 2章 英国の欧州連合(EU)離脱とヨーロッパの将来
   トランプ大統領誕生と英国のEU離脱(Brexit)
   実際何が起こったのか
   賽を投げた英国人
   速やかに対応した保守党
   スコットランド等の独立はない
   英国の強み
   EU離脱交渉はどうなる?
   曲がり角に来ているのはEU
   金融危機への対処──共通通貨ユーロの矛盾 7
   「民主主義の赤字」の問題
   域内「南北問題」とドイツの財政健全主義の相剋
   ヨーロッパの難民・移民問題の行方
   トランプ大統領の登場と欧州の安全保障
   EUの将来
   世界の中のEU

 3章 転機に来た中国
   それは天安門事件から始まった
   開放路線の成功
   栄光の中の格闘──「中国の夢」
   変わりつつある中国社会・経済
   中進国の罠
   「少子化による平和」は来るか?
   独裁体制の利点とアキレス腱
   中国の「民主」
   「100年のマラソン」の後を考える
   中国の軍事戦略睨むべし
   「勢い」を失った中国──2017年党大会と習近平体制
   米中は「似た者同士」──対立と協調が続く
   トランプ政権と中国

 4章 アジアに目を向けるロシア

   ソ連邦の崩壊と再生の苦悩
   プーチンの人となり
   「強いロシア」を希求するプーチン
   欧米に裏切られたロシア
   ウクライナ問題の爆発
   東西に引き裂かれるウクライナ
   ロシアのクリミア併合
   ロシアの安全保障戦略の変化
   アジアに目を向けるロシア
   トランプ政権の誕生と米ロ関係

 5章 北朝鮮の将来
   北朝鮮の狙い
   進行する「斬首作戦」
   不自然な朝鮮半島情勢と「弱者の恐喝」
   トランプ大統領は変化を起こせるか?

 6章 「イスラーム国」(IS)の崩壊と中東激変の予兆
   驚愕のバングラデッシュ邦人襲撃事件
   十字軍に遡る文明の衝突
   米国とイスラエル
   米国の中東介入の失敗と「イスラーム国」の誕生
   及び腰になった米国
   グローバル・ジハードは何を目指すのか?
   「イスラーム国」の行き着くところ
   イスラームと日本
   中東激変の予兆
   トランプ政権の中東政策の危うさ

第2部 外交の復権

 7章 「トランプ・ショック」で変容する世界の中の日本
   ナショナリズム世界の到来
   トランプ政権とどう向き合うか
   世界経済における新秩序
   B案を用意する重要性
   健全野党の役割
   孤高な日本の立ち位置
   自立を恐れるな──外交の復権
   外交の復権と自己批判の必要性

 8章 日本外交批判
   必要な「死後診断」
   冷戦終了時の世界情勢の見誤り
   法律論の過剰
   情報・記憶システムの弱さ
   北方領土問題への対応
   沖縄基地を巡る及び腰の対米外交
   トランプ登場と「対米追従」外務省批判

第3部 自立した日本外交と安全保障戦略

 9章 21世紀の日本の安全を守る選択肢

   この70年が特殊な時期だった
   安全保障政策は「仕立てる」もの
   脅威認識──ロシアから台湾まで
   日本が巻き込まれる危険性
   日本の現在の危機認識の総括
   取り敢えず「20年の平和」を考えよう
   日本の選択肢は三つある
   「国家安全保障戦略」は議論のスタート
   安倍安全保障外交の光と影
   日本の選択は良いとこ取りのハイブリッドで
   国際連合の再認識──集団的安全保障の復権

 10章 日本の防衛政策の転換
   ハイブリッド安全保障戦略の中の自衛隊
   防衛優先度の明確化
    (1)離島防衛(2)「航行の自由」の確保(3)中国からの脅威
   自衛隊の配置転換──「統合機動防衛力」の構築へ
   日米安保条約に迫る「真実の時」
   スローガンを排し独自防衛力構築を
   現実の脅威に対する独自防衛
   核兵器の有効性の認識の変遷
   キッシンジャーの限界
   日本独自の抑止力は可能か
   「非核限定抑止力」の条件

 11章 二国間外交による安全保障
   外交による安全保障環境の改善
   王道を歩む対中外交
   軍事色はトーンダウンすべし
   地理的に日中はどう向き合っているか
   1840年以前の奇妙な日中関係
   重層的な対中安全保障政策──尖閣と非核についての立場の明確化
   台湾独立不支持
   南シナ海の領有権問題への不介入
   中国を無用に刺激しない
   前向き政策はどしどし実行
   対中融和政策は敗北主義か?
   ロシア認識変更の必要性
   日露の仲が良かった時代
   日ロ関係発展への障害
   「北方領土問題」の先延ばし暫定「解決」
   「日ロの夢」を描けないか
    (1)IAEAの下の国際的な大規模核廃棄物処理・貯蔵センター建設
    (2) 「千島漁業特区」(3)資源協力
    (4)日ロ自由貿易特区協定によるシベリア地域工業開発(5)観光協力  
   新「日ロ協約」時代を

 12章 アジェンダ設定による安全保障
   1北東アジア非核化構想
    従来発想の転換
    北に「退路」を開くことの重要性
    5〜10年に亘るロードマップ
    日本は長い目で利益を図れ
   2南西諸島を抜ける太平洋への航路の設定
    40年続いている「当分の間」
    「通る側」と「通す側」の利益のバランスの必要
    英米のトレンド形成能力との協力

 13章 トランプを切り札にした日本の自立
   トランプが日本に突きつけた分かれ道
   国内を固めることが究極の安全保障政策
   自立政策を可能にする外部条件
   武装中立政策のメリットとデメリット
   これからの経済政策
   自立から生まれる満足感
   今からでも遅くない



 著者プロフィール
沈 才彬

英 正道(はなぶさ・まさみち)
1933年、東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、1958年に外務省に入り、経済協力局長、外務報道官、ニューヨーク総領事、駐イタリア大使等を務め、1997年に退官した。鹿島建設常任顧問の傍ら、日本英語交流連盟、日本ヴェルディ協会の設立に尽力し、加えてアジア・欧州財団、ソニー教育財団、文化財保護・芸術研究助成財団、日伊音楽協会などの非営利活動を積極的に行って来た。2000年以来、日本英語交流連盟のサイトに設けられたコラム「日本人の意見」で、志を共にする多くの有識者と、英語で日本人の意見を世界に向け積極的に発信して来た。著書に"Trade Problems between Japan and Western Europe"、「君は自分の国をつくれるか 憲法前文試案」(小学館文庫)、「新平和憲法のすすめ そして日本はどこへ」(草思社刊)がある。現在公益財団法人日伊協会名誉会長。
 

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