●日時
2016年9月24日(土)
●お話
中村延栄氏「マイレージで世界を回る―世界一周旅行で考えたこと〈宗教性とインフラ〉」
〈概要〉
中村延栄氏が、自ら計画して本年5月に世界一周旅行をされた体験から、各地の見聞を基に、宗教性とインフラについての視座を提供された。旅先から日本の知人に送った絵はがきを紹介され、各地の旅行事情や美味しい物の話も楽しく、参加者からも積極的な質問が出た。
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航空券を発行してもらったのは、昨年9月であった。大韓航空のマイレージの特性を生かし、自身のマイルに家族の分も合算して14万マイルにし、10回のフライト、6箇所までという制限の中で、プランニングには2ヶ月を要した。旅程は、次のとおりである。
日本出発→韓国(仁川)→アメリカ(アトランタ)→メキシコ(メキシコ・シティ)→チリ(サンティアゴ)→
アルゼンチン(ブエノス・アイレス)→スペイン(バルセロナ)→ロシア(モスクワ)→ポーランド(ワルシャワ)→
フランス(パリ)→帰国
都市間の移動で最長は14h、体力や現地での安全に配慮し、万全の準備をして臨んだ旅であった。結果として、カトリックやギリシャ正教など、宗教色の強い都市を周ることとなった。しかし、そのおかげで、各都市が、現代の状況では必ずしも豊かと言えずそれぞれの問題を抱えているにも関わらず、交通機関をはじめとするインフラの充実ぶりや、市民が身近な遺跡、文化施設を大切にしていることに気付くことができた。遺跡が町の真ん中にある韓国、丘の上の城と池の畔に美術館がいくつも連なるメキシコ・ シティは大変魅力的であった。巡った国々では、信仰が人々の中に自然に生きていた。ブエノス・アイレスの教会では、信徒が神父に相談する「告解(こくかい)」を見聞し、バルセロナの教会では敬虔なドレスコードがあることに気付いた。モスクワでは、教会は信仰の場であって、とても観光できないと感じたが、一方ではレーニン廟の個人崇拝の様や観光地としての賑わいを体験した。国情と都市計画の関係性を見るにつけて、日本のあるべき豊かさについて考えさせられた。
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