はじめに――なぜいま中国なのか?
1章 金融危機で中国経済も大きなダメージ
中国経済は水半分のガラスのコップ/株式バブルは崩壊した/外貨準備高の巨大評価損も発生/
実体経済への打撃が大きい/なぜ対米輸出は相対的に悪くないのか?/不動産バブルもはじけた/「知らないところに手を出すな」―中国金融機関一人勝ちの背景―/投資も消費も落ちてはいない/最大の懸念材料は雇用不安/「失業者」になれない失業者たち
2章 「政変」に弱く、外部危機に強い中国――中国経済の強みと弱点
「政変」に弱い中国/外部危機に強い中国/アジア通貨危機で朱鎔基首相が取った対策/一日で180度の政策転換ができる凄さ/「危機」を「好機」に変える中国の躍進ぶりが目立つ/奥が深い中国経済――「海洋国家」と「大陸国家」の二つの性格/問題視される中国のGDP統計/大型景気対策の効果
3章 現地レポート――活気が戻る株式・車・不動産三市場
甦った落ち着きと期待感/主要国中最大の上昇率を記録した株式市場/バブル再燃に要注意/活気溢れる自動車市場/中国自動車減税の最大の受益国は日本/日産は大躍進、マツダは「日中逆転」/明暗を分けた上海GMとGM本体/車の普及率は米国80%、日本60%、中国5%/不動産価格もプラスに転じる/過剰流動性のリスクは要警戒
4章 経済成長が永続しない10の実例――主要国の経済沈没はこうして起こった
ある大手企業からの調査・研究依頼/三つの予測が的中した『中国沈没』/『中国沈没』と『日本沈没』/『日本沈没』発表の翌年、日本経済が沈没した/過去のケースから中国沈没の可能性を探る・・・(1)「文化大革命」――権力闘争による中国沈没 (2)石油ショックによる日本沈没
(3)ベトナム戦争によるアメリカ経済の沈没 (4)「格差」「腐敗」「失業」が経済沈没を惹起する「ラ米現象」 (5)「天安門事件」による中国の沈没再び (6)バブル崩壊による日本沈没再び (7)国家崩壊による旧ソ連・ロシアの沈没 (8)アジア通貨危機によるASEAN諸国の沈没 (9)ITバブル崩壊によるアメリカ沈没再び (10)金融危機によるアメリカの3度目の沈没
5章 上海万博後の中国経済、七つの不安
上海万博後の中国経済、七つの不安/「和諧社会」を空中分解させかねない格差問題/貧困層が将来の中間層に変身する「格差パワー」も見逃すな/20年前の「天安門事件」を誘発した腐敗問題/腐敗幹部の「若返り現象」/なぜ汚職スキャンダルは後を絶たないのか?/中央政府を震撼させた四川省農民暴動/なぜチベットと新彊ウィグルで暴動が起きたか?/二〇一三年の政権交代がスムーズに行われるか?/ポスト胡錦濤の最有力候補は習近平氏!?/次期首相は「治世の李克強、乱世の王岐山」/アメリカによる「チャイナバッシング」をどう回避するか?/政治の民主化は21世紀中国の最大の課題/五輪開催は独裁を崩す/経済沈没は一時的で、二〇二〇年まで6〜7%成長が可能
6章 迫られる日本企業の対中国戦略転換
なぜ日本の株価下落率も経済成長率も米国より下げ幅が大きいか?/「トヨタ・ショック」の衝撃/問題の核心は過剰なアメリカ依存にあり/「内需依存」はあくまでも実現できない夢/二つの「米中逆転」が意味するもの/迫られる戦略転換――アメリカ中心から新興国中心へ/「世界の工場」活用より「巨大市場」を狙え!/日本企業の中国ビジネスチャンスはどこにあるのか?/急増する中間層、富裕層/内陸部と農村部の需要に注目せよ/中国人セレブの海外観光ブームのチャンスを逃すな/観光立国戦略なら搶ャ平氏に習え!/やめてほしい中国人も分からない中国語表示/中国新人類「80后」(バーリンホー)とは?/「家族連結型消費」を特徴とする「月光族」「日光族」/「普通の巨人」中国、「ブランドの巨人」日本
終章 いまこそ日本に必要な「親米睦中」の外交戦略
「太子党首相」続出の自民党が自壊した/中国の執行部と太いパイプを持つ鳩山政権/鳩山政権の経験不足をどう補うか?/いい参考になる胡錦濤政権の「知的武装」とは?/長期政権を目指すなら確かな成長戦略を!/「親米睦中」を日本の外交戦略の基軸に
あとがき |