『海と風船』



絵本『海と風船』


絵と文/谷内六郎
● 本体1429円+税
● B5上製 48頁
● 2006年2月4日発売
●ISBN 4-86119-049-5

子供が置き忘れた紙風船。海辺の町を楽しげに旅していった・・・。幼き日への郷愁と日本人の心の風景を描き続けた画家・谷内六郎さんが遺した18枚の油絵と自ら書き添えた詩的なストーリー。

●没後、初めて絵本として刊行!
●童話作家/立原えりかさんの序文も収録
<品切れ重版未定>

 本文より
雨後(海と風船)


 立原えりか(本書序文より)

 ・・・(絵は)一八枚あって、ふくらんだ紙風船が描かれている。風船とともに描かれているのは忘れたことがない谷内さんならではの光景だった。海も林も雲も舟もなつかしい。
「帰ってきたよ」
紙風船の声が笑っていた。
幸福ではちきれそうな風船は、存分に飛んだあとで海の向こうに去っていく。
「おうちにお帰り」
 ささやきかけて見送った。風船は、魂のふるさとをもとめる人たちのところへいくのだと思った。


 編集長のメッセージ

  今年は、「週刊新潮」の表紙絵でお馴染みの画家、谷内六郎さんの没後25年、「週刊新潮」創刊50周年の年にあたります。
 この作品は、谷内さんが生前、絵本として描き下ろした18枚の油絵と詩的なストーリーからなっています。    私はかつて新潮社に在籍し、ビデオ作品『谷内六郎&モーツアルト』を制作・刊行して以来のお付き合いから、夫人の谷内達子さんにこの『海と風船』シリーズのお話を伺い、すぐに出版を決めたのです。表紙絵や他の作品にはない伸びやかで明るいタッチ、詩のような文章も魅力的でした。
 今年という大事なタイミングに、未刊行で遺されていた優れた作品を刊行できたことは、なにより幸いでした。

アートデイズ編集長 宮島正洋



 著者プロフィール
谷内六郎



谷内六郎(たにうち・ろくろう)
 画家。1921〜1981。1955年第1回文藝春秋漫画賞を受賞。『谷内六郎画集』を文藝春秋新社より刊行。翌’56年『週刊新潮』創刊号より表紙絵を描く。この年初の個展を開催する。1962年、作詞を手掛けたレコード『遠い日の歌』が第17回芸術祭奨励賞を受賞。 1965年『週刊新潮』500号記念展開催。油彩画、エッセー、装丁、絵本、童話など多彩な制作活動の傍ら、福祉活動にも力を注ぐ。亡くなるまで休まずに制作された『週刊新潮』の表紙絵は1300余点に及び、没後、1995年4月〜97年3月まで再び表紙を飾る。2007年春、谷内六郎館(神奈川県横須賀市)がオープンする。その純粋無垢な喜びと悲しみを想像力豊かに描いた作風は、今も多くの人々の心を魅了し続けている。
>> 谷内六郎 Official web site



 関連書籍
 
四季・谷内六郎
幼な心と懐かしい日本の風景を想像力豊かに描き続けた画家・谷内六郎。「週刊新潮」の表紙を飾った1300余点の作品から、四季の秀作48点を選び出し、詩のような表紙の言葉を添えて構成したミニ画集。  
日本を代表する童話作家の著者。 憧れのアンデルセンの故郷を訪ねた著者の 幾度もの旅を通して明らかにされる「童話の神様」の真実――。
(『海と風船』の序文を書かれた立原えりかさんの著書)